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  • 執筆者の写真aikidoiriedojo

算数と数学の話、そして物理と合気道

ちょっと時間が経ってしまったのですが、昨年末にフェイスブック上で倉敷合気道会の田中利幸先生とやりとりをさせていただきました。というか私が一方的に絡んでいったのにも関わらず、田中先生はとても丁寧に対応してくれました。田中先生その節はありがとうございました。 ざっくりいうと算数では掛け算の順番を入れ替えちゃうと×とか△になってしまうことがあり、それは数学的な数式の法則を無視していてナンセンスではないかという田中先生。私は算数はそういうもん、算数と数学は違う、というわりといい加減な返信だったのですが、田中先生から頂いた返信の中で、とても勉強になり良い発見があったので、それを文章にしようと思います。算数的、数学的、物理学的におかしい所があったら、ご指摘いただけるとまた勉強になるのでお願いします。 田中先生が数式における交換法則が成り立つことは自然界でも成り立つ法則であるということの例として、 3kgの鉄球が5m/sの速度で動いている時の運動量、

3kg×5m/s=15kgm/s


5kgの鉄球が3m/sの速度で動いている時の運動量、

5kg×3m/s=15kgm/s

は同じになるということを書かれていました。(※一部文章表現を変えました)

これはなかなか私にはなかった発想で、上と下でぱっと見ただけでは明らかに違う運動でも、運動量という一つの要素に目を向けると同じというのは面白いよね、数式を正しく取り扱うとそういうことが分かって面白いよね、っていうのは正しくその通りだと思いました。


さて、ここでこの運動量 m(質量)×v(速度)においてmの数値とvの数値を入れ替えても同じだよね、ってところを合気道の稽古に置き換えて考えてみます。

合気道の稽古において相手をしっかり投げようと思うとどの程度の力が相手に伝わっているかをどうしても考えてしまいます。もちろんそれは大事なことだと思います。これはつまり物理学で言う運動エネルギー 1/2 mv² を意識しているということです。そしてこの式を見れば分かる通り、質量より速度への依存度が高いです。だから相手を強く投げようと思った人が早く動こうとすることは当然のことと言えます。 ただ合気道の稽古ではゆっくり丁寧にやるように、と私もそうですし多くの先生がそう指導されていると認識しています。それをここに置き換えてみると、運動エネルギーに意識がいっていると、速度を落とすとただ弱くなっていくだけ、と見えてしまいます。そこで運動量という要素に着目してみると、速度を落としたとしたら質量の方をあげていけば良いのだ、ということが言えます。ここでの質量というのは怠惰な生活をして太るという意味ではありません。もちろん筋力アップで体重を増やすというのは一つの手段ですが、最終的には速度も出せなければ意味がないので、速度が落ちてしまうような不自然な筋力アップは、求めていた結果とは違う結果が待っているかもしれません。ここでの質量は、相手への力ののせ方と私は考えます。つまりゆっくり稽古をするということは、相手への力ののせ方を高めることに意識をおくということで、技の質的向上を意識して稽古をすることだと言えるのではないでしょうか。逆に速度に頼った稽古はこの”技の質的向上”を放棄していると言えてしまうのではないでしょうか。ただ、この質の部分を速く動いた時も保てるか、ということも重要になってくるので、たまには速くやってみることも大事な稽古ではあります。 既に読み疲れている方も多いかもしれませんが、私としてはここからが本題です。この運動量と運動エネルギーですが、微分積分の関係にあります。運動量は運動エネルギーを微分したもので運動エネルギーの要素の一つ、運動エネルギーは運動量を積分したもので運動量の積み重ねって感じです。 私は合気道で先生の受けをとらせていただいている時に全体の流れに合わせるだけでなく、要所要所で先生がどの方向に私を動かそうとしているのかを感じ取ろうと思っています。それは先生がしたい動きに合わせて受身をとって気に入ってもらおうということではなく、技の原理を分析して自分の技術に活かそうと思っているからです。これを技の流れを微分して解析していると認識していました。それをつなげていって(積分して)自分の技術を高めていこうという考えです。そうした時にふと、自分が取りの時にどうしているかを思い返してみると、要所要所でその時の受けの状態を感じ取ってそれに合わせて崩す方向を決めて動いていると思ったのです。それって受けの時と同じで、取りの時も微分してしまっているということに気づき、これからは取りの時は積分することにしました。せっかく先生方にたくさん投げていただいて、上質な解析情報をもっているはずなのに、その経験を活かしきれていなかったと反省しました。そしてそれをさらに積分したらどうなるか、というとことがこれからのテーマです。 というわけで、高校数学や高校物理苦手だという人も多いかもしれませんが、その時つまらなくても自分の好きなものに活かせたりします。しっかり勉強をする事はとても大事なことです。 最後になりましたがせっかくなので、倉敷合気道会と田中利幸先生の紹介です。 田中利幸先生は遠藤征四郎師範の門下生で、倉敷市や浅口市などで指導されています。お近くにお住まいで合気道に興味のある方はぜひ習いに行ってみてください。 倉敷合気道会ホームページ 田中利幸先生のYouTubeでは身体を柔らかく使えるようになるための鍛錬法がたくさん紹介されており、とても勉強になりますので、ぜひいろいろ見てみてください。

田中先生の指導風景 2022年 年末稽古セッションにて (1)から(9)までありますので、ぜひ全部見てみてください。


遠藤師範の受けをとる田中先生


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